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『剛力』『ドナックル』を世に送り出した作馬六郎の奇想「最初はどのメーカーも相手にしてくれなかった」

2026年10月09日

独特の設計思想と用具への執念

数多くの名選手を育てた作馬六郎。独自の卓球理論と用具観を持つ指導者がニッタクと組んで、『剛力』と変化系表ラバー『ドナックル』の開発に関わった

作馬六郎 さくま・ろくろう
長く四天王寺中・高の外部コーチとして、世界メダリスト、五輪選手を育てた指導者

●『ドナックル』の誕生
 過去に岡崎恵子(世界選手権団体メダリスト)、武田明子(世界選手権ダブルスメダリスト)、福岡春菜(世界選手権団体メダリスト・北京五輪日本代表)といった世界メダリストを指導してきた作馬六郎が「粒高だけでは限界がある。粒が少し大きめで、粒高と表ソフトの中間のようなラバーがほしい」と要望を出し、ニッタクがそれに応えた。実は、かつて鄧亜萍(中国)からラバーを1枚譲り受けたことがあり、その粒形状は克明に頭の中に刻まれていた。「つまり、鄧亜萍ラバーのパクリですわ」と作馬は笑う。


『ドナックル』のラバー側面。粒形状は円柱でやや長めの変化系表


 鄧亜萍といえば、3度、世界の頂点に立ち、五輪でも2大会連続で金メダルを獲得した伝説的選手だ。バック面の変化系表ソフトによる攻守と、フォア面のドライブ・スマッシュを武器に、一世を風靡した。
 2016年に発売された『ドナックル』は、発売後じわじわとユーザーを増やして、橋本帆乃香も使用するようになった。「『ドナックル』は粒が縦目で変化が出やすいため守備型に適している。飛ばないスポンジを採用しているので、カットもしっかり切れ、サイドスピンをかけるツッツキは非常にやりやすい」(作馬)。
 「変化が出るラバーほどコントロールは難しい」と作馬は語るが、練習を積み重ね、橋本のように使いこなせるようになれば、『ドナックル』はこれ以上ない心強い味方となる。

ドナックル
変化系表ソフト
厚さ:超極薄・極薄・中
スポンジ硬度:32.5
粒配列:縦目
価格:¥5,280(税込)


●『剛力』製作のプロセス
 作馬六郎が指導した世界メダリストたちは紅双喜の『PF4』という硬いシナ材のラケットを使った。ラケットだけで130〜135gという重量級ラケット。だが、「スマッシュを叩き込み、粒高を操る攻守型には、この重さと硬さがピッタリだった」と作馬は振り返る。
 「このラケットをモデルにした製品を作ってほしい」と各メーカーに打診したが、その極端なスペックゆえに、どこも相手にしてくれなかった。その中で唯一、耳を傾けたのがニッタクだった。こうして誕生したのが、『剛力』シリーズだ。
 「試作品を依頼したら、最初はヤナギ材で作ってきた。『こんなんダメや』と突き返し、2回目にウォールナット材を使ってようやくOKを出した。ラケット本体で110gほど。厚いラバーを貼ると210gを超えてしまうので、あえて『中』の厚さのラバーを貼り、190g前後に収まるように調整した」(作馬)。


『剛力』のブレード側面。硬いウォールナットを等厚に使用し、板厚が薄め(4.9mm)


 その後、両面に裏ソフトラバーを貼ることを前提とし、外側の2枚をウォールナット、中板に桧を4枚使った『剛力スーパードライブ』を開発。そして『剛力』と同じ木材構成で、カット用にブレード面を大きくした『剛力スーパーカット』を開発し、バリエーションを増やしていった。
 作馬が心血を注いだ『剛力』シリーズは、独特の木材のしなりと打球感、そして圧倒的な個性を放ち、卓球界で唯一無二の存在となっている。

剛力
シェークハンドラケット
合板構成:木材7枚
重量:100±g
板厚:4.9mm
ブレードサイズ:160×154mm
グリップサイズ:FL 100×24mm
価格:¥36,300(税込)
剛力スーパードライブ
シェークハンドラケット
合板構成:木材6枚
重量:95±g
板厚:7.0mm
ブレードサイズ:160×154mm
グリップサイズ:FL 100×24mm
価格:¥36,300(税込)
剛力スーパーカット
シェークハンドラケット
合板構成:木材7枚
重量:105±g
板厚:4.9mm
ブレードサイズ:165×156mm
グリップサイズ:FL 100×24mm
価格:¥36,300(税込)