今春ニッタクからリリースされた『キョウヒョウ8-80』シリーズは、今までの中国ラバーに対する「重くて硬くて使いづらい」という固定観念をひっくり返したラバーだ。
　「粘着ラバーを試してみたいけれど、怖くてなかなか手を出せない」「以前に粘着を使ったけれど、難しくて断念した」「テンション系ラバーからシフトしてみたいけれど、いきなり本格的な粘着はハードルが高いかも」といったプレーヤーにはピッタリ。
　今回は、買おうかどうしようか迷っているアナタの背中を押すべく、試打を行った選手たちのコメントをお届け。これを読んだら、ほしくなること請け合いだ。（試打協力：東京ガス卓球部）

Tester’s Comments

※試打したのは『キョウヒョウ8-80パワー』

青山昇太選手（東京ガス）
「回転がよくかかり、ストップが秀逸」

　打球感は硬めですね。球持ちが良く、弾みはほど良い感じです。ミート打ちは少しやりにくさを感じましたが、回転は非常によくかかります。私が使うとしたら、フォア面に使いたいですね。台上のストップがよく止まってくれるので、レシーブでストップから入りたい選手には最適だと思います。

野頭佑生選手（東京ガス）
「ミスを少なくできる。カウンターも好感触」

　打球感は硬くも柔らかくもなく、ちょうどよく感じました。弾みは強くないですが、回転のかかり方が非常に良いですね。フォア面でもバック面でも、どちらでも使えそうですが、私は特にフォアハンドの技術全般が好感触でした。ミスを少なくしてボールを台に収めたい方、台上を上達させたい方、カウンターを多用する方などにおすすめします。

南波裕輝選手（東京ガス）
「回転をかけた時のボールの伸びが良い」

　打球感は硬めだと思いました。回転をかけた時の球持ちが非常によく、伸びのあるボールが打てます。私はフォア面で使いたいですね。スピードより回転を重視するプレーヤー向きです。やりやすいと感じた技術はカウンターと台上。相手に先に打たせてからカウンターを狙うようなスタイルにはかなりマッチすると思います。

宇佐美拓矢選手（東京ガス）
「勝手に弾まないのでカットが切りやすい」

　私はカットマンですが、回転が非常によくかかり、切れたカットが出しやすいのでとても使いやすかったです。打球感は硬めですが、球持ちが良くあまり勝手に弾まないので、思い切ってカットをスイングできました。攻撃面ではやや弾みにくさを感じましたが、しっかり振れば良いボールが出ます。

楊奇真さん（卓球王国用具診断士）
「バックで粘着を使いたい人におすすめ」

　打球感は硬めですが、球持ちは良いです。弾みの良いラバーではないですが、回転はすごくよくかかりますね。台上のストップや、ブロック・カウンターといったボールを止める技・かけ返す技がとてもやりやすかったです。強打すると、良い意味で「汚い」ボールが出るので、実戦での得点力は高いと思います。バック面でも好感触だったので、『キョウヒョウ』をバックで使ってみたい人にはかなりおすすめできます。

【総括】
『キョウヒョウ』らしさと
新感覚が同居したユニークなギア

　打球感については、硬めだと評価する選手が多かったものの、同時に殆どの選手が球持ちの良さと回転力の高さをメリットに挙げており、扱いやすさ・回転のかけやすさについては、誰が打っても感じられるようになっている。男子の本格派がフォアハンドで使用できるだけの強さを持ちながら、バック面での使用にも十分対応できるユーティリティー性も持ち合わせており、従来の『キョウヒョウ』に比べると、心地良く使えるプレーヤー層の幅が、相当拡大していると言えるだろう。
　具体的な技術のやりやすさについては、やはり粘着特有のストップを中心とした台上での優位性を挙げる選手が多かった。カウンターの精度の高さに言及する選手も多く、このあたりはさすが『キョウヒョウ』といったところだ。
　東京ガスの各選手と楊さんが打ったのは、やや軟らかい『キョウヒョウ8-80パワー』のほうだったが、筆者は少し硬めの『8-80』も同時に試打。安定性とオートマチックな弾みについては『8-80パワー』に軍配が上がるが、フルスイングできた時の威力に関しては『8-80』のほうが限界値が高いように感じた。
　いずれも『キョウヒョウ』らしい粘着性と回転力を備えながら、操作性の高さや爽快感が同居しており、使い手を選ばない「誰もが使えるキョウヒョウ」という唯一無二の立ち位置を実現した、ユニークなアイテムとなっている。（卓球王国編集部・小川勇気）