現在、世界ランキング1位!全日本パラ王者・七野一輝が愛用するニッタクギア
2025年10月21日

2025年9月の第17回全日本パラ卓球選手権(肢体の部)、男子車いすシングルスクラス4で2連覇。クラス6、クラス5時代も含めると通算6度目の優勝を飾った七野一輝(オカムラ)。
そのフォアハンドから放たれる豪快なパワーショット、バックハンドのテクニカルかつ多彩なプレーを支えているのが、ニッタクのラケット・ラバーだ。
今回は七野自らが、相棒に選んだギアの魅力、現在の用具にたどり着くまでのプロセスなどを次のように語ってくれた。
ラケット:アコースティックカーボンインナーG-REVISION FL

もともと私は、初代モデルの『アコースティックカーボンインナー』を使っていましたが、『Hina Hayata H2』が発売された時にそちらへチェンジし、パリパラリンピックも『H2』で出場しました。
ただ、パラの国際大会で使用されるボールが今年(2025年)から変更されて硬くなったため、ちょっとラケットとしての硬さがほしくなったのと、しっかり自分で飛ばせる用具にしたいという希望が出てきて、『アコースティックカーボンインナーG-REVISION』への変更を決めました。
このラケットは、基本的にはすごく飛ぶのに、バック面の表ソフトでブロックすると、とても短くボールが止まる。使い始めたのは8月からなのですが、コントロールが抜群ですぐにフィットしましたね。
今回の全日本パラの決勝でも、齊藤元希選手(プランテック)との対戦でバック対バックのラリーが多かったのですが、ラケットの硬さと球離れの早さが効果を発揮し、深いボールがいつもより行って、かなり相手を押し込めていました。相手の粒高のボールの嫌らしさもあまり感じることなくプレーできたので、そこはこのラケットのおかげだと思いましたね。

フォア面ラバー:ハモンドZ2 特注 MAX

以前は『ファスターク G-1』を愛用していて、すごく良いラバーだと思って使っていたのですが、『ハモンドZ2 特注』がリリースされた時、「せっかく新作が出たから使ってみよう」と思って使ってみたら、とても感触が良くて本格使用することになりました。
このラバーは結構シートが硬いのにスポンジが柔らかく、シートでボールを引っ掛ける感覚が非常に良いです。車いす卓球ではフットワークを使ってボールのところへ移動するようなプレーは難しいので、余計にこの「ちょっと回転をかけて相手を押し込む」みたいなプレーが重要なのですが、『ハモンドZ2 特注』だと、そういった部分でのコントロールがとてもやりやすく感じます。
2024年6月のチェコオープンの直前にこのラバーに変えたのですが、その大会では自分の理想のプレーができて、韓国のトップ選手に勝って優勝しました。ミートもいけるし、ループもいけて、自分がよく使う技術がすごくやりやすいので、それ以来ずっと愛用しています。

バック面ラバー:ピンプルスライド 中

この『ピンプルスライド』はもう、10年くらい大好きで使っています。何が良いかというと、「打ってもよし、守ってもよし」という部分。ストップもやりやすいし、プッシュ気味に押し込む時のボールがナックルになる。このラバーで返したボールには何かしらの変化が勝手につくので、とても頼りになります。
特にバックハンドではフォアハンドほどのパワーを出せないので、前後の緩急やサイドスピンなどを駆使した多彩なプレーが大事になりますが、それが本当にやりやすい。「このラバーがなかったら絶対ここまで来れなかっただろう」と言い切れるくらい、ぼくの中では信頼感抜群です。

表ソフトで回転をかける練習や、逆に裏ソフトで回転をわざとかけない練習に取り組むなど、両面異質プレーヤーとしてのレベル向上・技術研究に余念がない七野。2025年10月のアジアパラ選手権では男子シングルスクラス4-5で準優勝を飾った。今後もニッタクギアとともに、大活躍してくれるだろう。

■しちの・かずき
1998年11月2日生まれ、東京都出身。17〜19年全日本パラ・クラス6(立位)優勝。21年東京パラリンピック世界予選クラス6準優勝。22年4月に足の故障により、立位から車いすに転向し、同年全日本パラ・クラス5優勝。23年アジアパラ競技大会単複3位。24年パリパラリンピック・クラス4単複5位。24・25年全日本パラ・クラス4で2連覇。オカムラ所属。世界ランキング1位(クラス4/25年10月15日ITTF発表)